へっぽこ講師のあれやこれや(別館)

頻繁にやる気が行方不明になる大学教員の雑記です。アカデミックな要素はかけらもありません。

入院末期から感じていたこと

入院末期に出会ってからというもの、励まされることの多かった池上先生のブログで非常勤講師をめぐる問題についての記事が続きました。つい最近まで専従非常勤講師だっただけに、整理できていないところがかなりありますが、思うところを綴っておきたいと思います。


研究や教育に携わる者が生活のこと、ことに台所事情について語ることについて「いかがなものか」と思う方はいらっしゃることでしょう。実際、私は指導のなかで言われたことがあります。どこに向かって語るかはよく考えた方がよいけれども、研究の道で生きのびようと思うのならば経済的な面についても目を向ける必要があると思います(資産もない下宿生はなおのこと)。そのためには、情報の共有が必要だとも思うのです。


学生時代の終わり頃から現在の職場に拾ってもらうまで、不安に押しつぶされそうになりながら暮らしてきました。周りの人たちに恵まれたこともあり研究に対する熱意というか執念を保つことができたけれど、就職が決まらなくてもその状態を保たせることができたかは、正直なところ自信がありません。就職が決まった時は気持ちを保っていられるギリギリのところまできていたような気がしています。


「お金のために研究職・教育職をやっているのではない」という池上先生の意見に、私はおおいに賛同します。「まだ研究を続けたい」という気持ちがあればこそ、どんなに厳しくとも辞めずに留まろうとするのではないでしょうか。そういう人たちが必要以上に不安を抱えずに済むように、腹を括れるように、大学院およびその後の生活についての情報(個人的には、研究とは関係なさそうな生活面についてのものがむしろ重要な気がする)の提供・共有が必要だと思います。そういう意味で、非常勤講師としての仕事やその頃の生活状況について感じたことについては、また機会をあらためて書きたいと思います。